30代公務員が転職活動をして分かった 公務員を辞めなくていい5つの理由
今回の記事はこんな方におすすめです。
- 30代半ば。中堅として脂がのってきたけど、「このままでいいのだろうか・・・」と不安を覚える方
- 公務員のキャリアに不安があるけど、なんとか希望を見出したい方
- 公務員を辞めたい・・・とモヤモヤしている方
はじめまして。
民間企業を経験し、地方公務員に転職。
30代半ば、配偶者と子どもがおります。
何者になる公務員と申します。
私は、転職し公務員になりましたが、勤続7年目あたりで公務員のキャリアに絶望し、一度公務員を辞めようと思いました。
そして、転職活動をし、再び民間企業の世界に戻る寸前までいきました。
しかし、転職活動を経て、公務員の仕事を見つめ直すことで、公務員として再び生きていく腹をくくることができました。
そんな私が、実際に転職活動をした経験、転職を本気で考え葛藤した経験をもとに、公務員を辞めなくていい理由を紹介します。
30代の公務員と言えば、いわゆる中堅として、プロジェクトの中心を担い仕事も脂がのる頃。
勤務して10年目前後。
複数部署の異動を経験し、組織に慣れてきたことと、組織の中での自分の将来がなんとなく見え始めることによって、仕事へのモチベーションが下がりやすい時期です。
「このままでいいのだろうか・・・」という漠然とした不安を抱えます。
その不安から、公務員から民間への転職を考える方もいると思います。
そして、公務員のキャリアに絶望する方もいると思います。
でも、ちょっと待って。
公務員を辞める必要はありません。辞めるのはもったいない。
その理由を一緒に見ていきましょう。
目次
- 理由1 転職エージェントから紹介してもらえる案件が少ない
- 理由2 それ本当にやりたいことですか 転職することが目的になってない?
- 理由3 「民間に行けばうまくいく」は幻想
- 理由4 公務員のメリットをもう一度見るべき
- 理由5 公務員を辞めなくても自分の可能性は広げられる
- さいごに
理由1 転職エージェントから紹介してもらえる案件が少ない
まずは、そもそものお話です。
公務員が転職できる求人は少ないです。
私が転職活動したのは、コロナウイルス感染症が流行する前の2019年11月。
景気動向としては、オリンピックが終わるまでは保たれるという見方が強く、転職市場もオリンピックが終わるまでは動きが活発と言われていました。
もしかしたら、普通に公務員をやっていただけの自分でも、華麗に転職できてしまうかも!?
そんな期待を、転職活動当初の私は抱いていました。
しかし、現実は甘くない。
転職エージェントから紹介してもらえる案件はほとんどありませんでした。
理由は次の通り。
- 転職活動において、公務員は未経験扱い
- 30歳代での転職活動は、これまでの専門性が求められる(営業職やマーケティング職などの領域における即戦力が求めらえる)
- 公務員はコスト感覚・スピード感覚が鈍いという印象が強いから、民間からは嫌煙されがち
誤解を恐れずに言うなら、営業やマーケティングなどの実務における経験という意味では「新卒社員と変わらない」ということなのです。
我々公務員の“事務職“としての経験は、ほとんどの会社の中で、即戦力になることはできません。
そのような人材を採用して、営業やマーケティングなどを一から教えて育てようなんて、あなたが企業の経営者だったら思いますか?
そういった理由で、転職できる求人が少ないため、公務員の転職の難易度は高めです。
理由2 それ本当にやりたいことですか 転職することが目的になってない?
さて、次は、転職活動をする中で陥りがちなワナについてです。
普通の公務員を、書類審査を通過して面接まで通す企業は、次のようなパターンが考えられます。
- 官公庁相手に商売をしている(コネを期待)
- 人材の入れ替わりが早い(ブラックな意味で)
- よほど求人が集まらない(人気がない)
だいたいこんなところでしょうか。
求人案件数が少ない中、初めは条件の良さそうなところに絞ってエントリーします。
ほとんどの場合、光の速さで「ご希望に沿えず申し訳ありません」といった趣旨の不合格の連絡が来ます。
するとどうなるか。
不安になります。
何か自分を否定された気持ちになり、不安になるから、手あたり次第エントリーします。
なんとなく、気になるキーワードがある企業があれば、ポチっとエントリー。
それでも不合格の連絡は止まりません。
そして、危険なのがこのタイミング。
そんな中、「面接日の調整 書類審査合格です!」といった連絡が入ります。
これ、めちゃめちゃ嬉しいです。
そこで書類審査でOKを出してくれた企業の情報を見ます。
「あれ、こんな企業、エントリーしたっけ?」正直そう思います。
それでも、「書類審査でOKを出してくれたということは、自分の活躍のチャンスがあるのでは?!」と、前のめりにその企業の情報を調べ始めます。
するとどうなるか。
その会社が良い会社に思えてきます。
そして、面接のために準備を始めるわけですが、
当然、その業界だったり会社自体の志望動機を考えるわけです。
すると、自己催眠にかかったかのように、
いつの間にかその業界や会社が、自分に向いているのでは?と思えてきます。
なんなら、初めからその業界を目指していた気になります。
ここで質問です。
あなたは絶対的にやりたいことがあって転職をしていますか?
あなたが本当にやりたいことがあって、その業界・会社を目指すのであれば、全く問題がありません。
ですが、なんとなく転職を考える中で、なんとなく出会った会社に自分の運命を預けてしまうのはリスクが高すぎないでしょうか。
こういったことは公務員に限ったことではないかもしれませんが、私は公務員こそ、この点に注意が必要だと考えています。
それは、公務員は、社会の動きに対して初心だからです。
公務員が実際に仕事で相手にするのは、住民か組織内が圧倒的に多いです。
一部、民間企業とのやりとりは当然ありますが、ほとんどの場合が委託事業者が多いです。
それはつまり、あくまで公務員は“お客様”として扱われているだけです。
公務員は、ビジネスという、ある種の腹黒さをもって渡り歩く必要がある世界を知りません。
だから、役所とのコネを作りたいとしか考えていない企業や、人材を使い捨てる傾向のあるブラック企業などからのオファーに、安直に乗せれられて人生を台無しにしないよう、注意してほしいのです。
理由3 「民間に行けばうまくいく」は幻想
公務員が転職活動をすると、公務員のキャリアに絶望を感じます。
公務員が転職活動で評価されることは少ないです。どこへ行っても未経験扱い。
すると、こういった気持ちが芽生えます。
「私の10年近くの仕事って何だったんだろう・・・」
「役所で働くことだけが上手になっただけだったのかも・・・」
そして、次にこう考えます。
「このまま公務員を続けたら、万が一何かあったときに、組織の外で生き抜いていくことができなくなる」
「民間に行けば専門的スキルを身に付いて、そのスキルを武器に市場価値を上げられる」
一時の私もこのように本気で思っていました。
ざっくり言うと「民間に行けばうまくいく」と思っていたんですね。
でも、よく考えてください。
民間で働く人たちが皆、自分のスキルを武器に、順風満帆に自分のキャリアを邁進しているのでしょうか。
そうであるならば、転職市場はもっと活発になり、転職が文化としてもっと根付いているはずです。
でも、現実はそうではない。
私は実際に転職活動をし、エージェントやキャリアカウンセラーと話したり、キャリア形成に関わる本を読む中で、それが分かりました。
民間で働く人だって、「このままでいいのだろうか・・・」「この組織のなかだけで働くことが上手くなったのでは・・・」という漠然とした不安から転職活動をしていることが多いです。
自分のスキルを武器に転職市場を渡り歩いている人は、ほんの一握りです。
キャリアに悩むのは、民間も公務員も一緒。ということです。
民間に行けばうまくいく、という理由で公務員から民間へ転職した人は、次は、「あの会社に行けばうまくいく」といった具合に次の環境を求めて点々としてくだけでしょう。
理由4 公務員のメリットをもう一度見るべき
転職について、家族にも納得してもらうこと。
家族を養う方にとっては、転職活動にとって最大のポイントでないでしょうか。
公務員というブランドは、家族にとって絶大な安心感があります。
転職するということは、それをあえて捨てるということです。
余程の熱意があるor収入アップに繋がる、といった事情がない限りは、家族からは受け入れられないことです。
ずっと公務員として働いていると、公務員のメリットの有難みが薄れてきます。
- 毎月給与が入り、決まった時期にボーナスが入る。
- 余程のことがない限り少しずつ昇給していく。
- 余程のことがない限り失業しない。
- 残業も月20~30時間程度(部署による)
- 休暇を取得しやすい
これらの安定は他の仕事ではあり得ないことです。
会社の収益が悪かった場合、ボーナスが出なかったり、急にリストラされる会社なんてザラにあります。
そのように考えると公務員のメリットは、家族にとって、そして自身にとっても貴重なものです。
しかし一方で、この公務員のメリットはどんどんなくなっていくだろう、という話もあります。
この辺りで公務員との決別を迷っている方もいるのではないでしょうか。
それは、公務員のリストラと給与水準の減です。
人口減少、少子高齢化、先行き不透明な景気、IT技術の進歩といった社会情勢を踏まえると、戦後の日本を支えてきた様々な仕組みが疲労して機能しなくなってきます。
終身雇用もそのひとつです。
公務員だって、リストラされる可能性が高くなってきます。
そして確実に給与の水準も下がっていくでしょう。
しかし、私は、このリスクについては、直撃は避けられると考えています。
まず、公務員のリストラについて。
「公共サービスの安定性」「失業者の大量発生」という観点から考えると、一気にリストラという可能性は低いと思うからです。
公務員を一気に減らしてしまうと、公共サービスの質を維持することができなくなります。また、全国にいる約274万人(地方公務員の職員数。平成31年4月1日現在。総務省HPより)のうち数万人が路頭に迷うことになります。
これだけの失業者を出すような政策がとられることは、日本全体としてリスクが大きすぎます。
よって、減らし方としては、採用を絞りながら徐々に減らしていく方法をとるはずです。
以上の理由から、「余程のことがない限り失業しない」という公務員のメリットは、将来も揺らぎずらいと考えます。
では、給与水準の減についてはどうでしょう。
私は、このリスクについても、直撃は避けられると考えています。
その理由は次章に譲ります。
理由5 公務員を辞めなくても自分の可能性は広げられる
ここでは、公務員の給与水準減リスクは避けられる、というお話です。
先述した通り、社会の様々な仕組みが制度疲労を起こしています。
遠くない将来、終身雇用や年功序列的な給与体系は間違いなく崩壊するでしょう。
そのような中で近年、公務員の副業について、少しずつ解禁の流れが出ています。
これは、今のうちに自分で生きていける術を磨いておいてね、というメッセージだと私は考えています。
神戸市や奈良県生駒市では、基準を設けた上で職員の副業をOKとしています。
このような流れは他の自治体でも広がってくると思います。
私が考える給与減リスク対策は、
安定した公務員という仕事をベースにしながら、自分の能力を活かし活動し、組織以外でも必要とされる人間になること。
では実際にどうするか。
- 地域の活動に積極的に参加する。
- これまでの私の体験をブログで発信する。
この2つを軸に活動し、自分の可能性・やりたいことを見つけながら、公務員以外の収入確保に繋げていこうと思います。
さいごに
何がなんでも公務員にしがみつけ、と言っているのではありません。
本当にやりたいことがあって、それが公務員として勤めながら実現することが難しいのであれば転職すべきです。
しかし、
公務員としてのキャリアに疑問や不安を持ち、なんとなく辞めたい、と考えているのであれば、まずは辞めないことをおすすめします。
まだまだ、給与面、福利厚生面での公務員のメリットは残っています。
そして当面はそのメリットを享受できると思います。
メリットを享受できる間に、そのメリットを享受できなくなる時のために備えておく。
それが現実的な戦い方だと思います。
私たち公務員の仕事は、他の仕事では味わうことができないダイナミックさと尊さを含んでいるはずです。
そして、収入が安定して入ってくるという環境は何にも代えがたい安心です。
そのベースを活かして、リスクを抑え、何者になってみる。
そんな方法もあるのだよということを、私自身のこれからの経験から証明できるように私も頑張ります。
それでは、また。
とにかく公務員を辞めたかった私へ
あの時の自分はどんな文章を読みたかっただろう。
そう考えて、今、この文章を書いています。
あの時の自分。
とにかく公務員を辞めたかった。
そんな私が公務員として生きていく決意をするに至った。
今は、公務員も悪くないか。
そのように折り合いを付けて前を向くことができています。
そんな話をしたいと思います。
この文章が、あの時の自分と同じように公務員としてのキャリアに悩む方に届き、
少しでも前を向いていただけるヒントになれば、と切に願います。
※今回は全体の流れを記します。各パートの深堀り記事は随時更新したいと考えています。
目次
なぜ公務員を辞めたかったのか
公務員を辞めたくなるに至った経緯です。
1 思春期がきた
思春期、というのでしょうか。
絶対的な不満があったわけではありませんでした。
30代。地方自治体に勤務してから8年目。
いくつかの部署配属を経験し、中堅どころとしてプロジェクトを回し、それなりに組織の動き方が分かってきた頃。
漠然と、「このままでいいのだろうか」という不安に包まれた日常を過ごしていました。
- 自分はこの組織の中で働くことが上手になっただけでは?
- 何だか最近、コミュニケーション力が落ちた?
- 上司や他部署への折衝が上手くいかないと、相手の能力が低いと考えてしまう・・・
モヤモヤする気持ちを抱えながら、また時に、上手くいかない時は組織を嘲笑し自分のプライドを守っていました。
2 自分は特別な存在
以前から私は、ビジネススキルのアップに繋がる本を読み、吸収し、仕事の質・効率を上げるよう心掛けていました。
それも今から考えると、根底には、「自分に対する自身の無さ」や「漠然とした危機感」があったのかもしれません。
そして、今回このような心境に自覚的になり、「ナニカをしなければ」という危機感が強くなりました。
そして、これまでにも増して、ビジネス本を読みあさりました。
これまでの読書と違うこと。
それは、
「自分は周りの人とは違うんだ。」
と心の中で呟くようになったこと。
この言葉が当時の私は支えていたようにも思います。
頭でっかちというか、他人を見下すようにすらなっていました。
これ、まさに思春期ですね・・・
3 自分の市場価値って?
思春期に特に強く出る気持ち。
それは承認欲求ではないでしょうか。
私は、自分の市場価値を知りたくなりました。
これまで仕事で残してきた実績に自信がありました。
“周りの人とは違う自分”の可能性を見たくなったのです。
何をしたか。
転職エージェントに登録しました。軽い気持ちで。
4 転職エージェントに登録
自分の経歴を踏まえ、どんな転職先の紹介があるのか。
これらの状況を見て、もし条件がよい会社があれば転職活動にチャレンジしてみよう。そのように考えていました。
そして、現実は次のとおり。
「紹介できる求人はありません。」
「紹介できる求人がある場合にのみ、個別相談に対応します。」
・・・エージェントにすら会えませんでした。
まずはエージェントとの面談で、自身の適性、市場価値を見極め、じっくり考えたいと思っていました。
しかし、現実はそんなに甘くない。
転職エージェントは、紹介した人材が採用されて初めて報酬を得る。
紹介のしようがない人材の個別相談に対応するはずもありませんよね。
この頃から徐々に公務員に対する不安が大きくなり、自分が何をしたかったのか見失いがちになってきました。
「公務員に市場価値はないのか?」
そんな焦りから、私がとった行動。
転職エージェントに連絡を取りまくる・・・。
「紹介できる求人がなくてもいいから、とにかく一度相談に乗ってくれ!」
いつの間にか、「自分の可能性を知りたい」ということが目的になりつつありました。
5 公務員は安定していない!?
そんなこんなで、やっとのことで転職エージェントに相談することができるようになりました。(電話面談ですが・・・)
そこで告げられたこと。
- 転職活動において、公務員は未経験扱い
- 30歳代での転職活動は、これまでの専門性が求められる
- 未経験採用の場合、ほぼ確実に年収が大幅に下がる
- 公務員はコスト感覚・スピード感覚が鈍いから、民間からは嫌煙されがち
(結果)30歳を過ぎてから公務員から民間に転職することは、相当難しい
また、転職やキャリア系の書籍を読んでも、「30代はこれまでのキャリアを活かし、次に伸びそうな業界へ渡り歩いていくべき」といった趣旨の内容が多い。
そう考えると、、、
公務員は安定、とか言ってるけど、よく考えると安定してないじゃん!!!
当時の私は強烈にこのように考えていました。
これ、意味が分かりますか?
一度公務員になって、そして30歳を過ぎると、もう公務員としてしか生きていけない、ということです。
人口減少、少子高齢化、先行き不透明な景気、IT技術の進歩といった社会情勢を踏まえると、戦後の日本を支えてきた様々な仕組みが疲労して機能しなくなってきます。
終身雇用もそのひとつです。
公務員だって、リストラされる可能性が高くなってきます。
そして確実に給与の水準も下がっていくでしょう。
そうなったときに、短期間で部署を異動し専門的スキルが蓄積されない公務員は転職できない。
役所にしがみつくしかない。
そんな、自由がない公務員の未来に絶望したのです。
6 本格的に転職活動をする
以上のような流れで、公務員としての思春期を迎えた私は、「組織の外に出ても生きていける人材になりたい」と、考えるようになり転職活動を本格的にスタートしました。
職務経歴書をつくり、何十社と応募し、書類選考で落とされる。という日々を2カ月ほど過ごしました。
いくつかの会社で面談まで進むことができ、最終面接まで進んだ会社もありました。
このまま華々しく、民間に転職できるかもしれない・・・
さようなら!地味な公務員ライフ!私は泥船から降ります!
こんな風に、少し浮かれ始めていました。
そして、その時何より嬉しく感じていたのは、「自分は自由になれる」ということでした。
民間に行って専門的なスキルが身に付けば、そのスキルで社会を渡り歩いていける、という風に考えていました。
それでも公務員を辞めなかった理由
最終面接までたどり着くなど、着々と進んできた転職活動。
しかし、最終的には、全て辞退する形で転職活動を終えることになりました。
それは、転職活動を進める中で、悩み、家族やキャリアカウンセラーに相談し、自分自身の方向を見出すことができたからです。
このパートでは、その過程を記したいと思います。
1 家族からの反対
いよいよ「公務員から民間への転職」を本気で決断するタイミングです。
ここで壁にぶつかりました。
それは家族からの反対です。
転職することは家族にとって大きな出来事です。
当然、家族とは日常的に話し合っていました。その中で、自身の可能性を知るという意味で、転職活動をすることに賛成はしてもらっていました。
もしかしたら、本当に公務員を辞めることになるかもしれない。
私は改めて家族に説明します。
なぜ転職するのか
- 役所に勤め続けると、役所の中で働くことしかできなくなってしまう
- 社会情勢の変化を考えると、今後、公務員の労働環境は悪化する(人員削減、給与減)
- よって公務員を続けることは、長期的に見ると家計にとってリスクになり得る
- 民間会社で努めれば専門的なスキルが身に付き、社会を渡り歩くことができる。
しかし、いざ目の前に転職が迫ると、さすがに家族にとっては不安が大きいものです。
- 世間的には、「公務員=安定」というイメージはまだまだ大きい
- 未経験の人材を受け入れる会社ってそもそも大丈夫なのか
- 30代で未経験で業界に入って、社会を渡り歩くことができるスキルを身に付けるまで何年かかるのか。そんなに甘くないのでは。
- 収入減となった場合、どのように家計を補てんするのか
私はこれらの不安に対して、クリアに応えることができませんでした。
そして、家族の不安は自分自身も心のどこかで感じていたものでした。
とにかく転職をしたかった私は、都合の悪い部分は見ないふりをしていたのです。
2 葛藤
では、それですんなりと転職活動を辞めたのか。
そうではありませんでした。
このまま公務員として残ることは、その当時の私にとっては絶望しかありませんでした。
組織の中だけで仕事をし、気が付けば市場価値のない人間になっている・・・
そんな風にはなりたくありませんでした。公務員の枠を飛び出し、社会に必要とされる人材になりたい。だから、転職する。本気でそう考えていました。
でも、現実は違う。
家族を説得し円満に転職できるような転職先はない。
では、このまま公務員を続けるのか。
それとも、家族の反対を振り切って転職するのか。
どちらに行くにも不安しかありません。
公務員のキャリアってなんだろう・・・
公務員はキャリアなんて考えない方がいいのか・・・
そもそも公務員になったこと自体が間違いだったのか・・・
いくら本を読んでも、他人のブログを見ても答えは出ませんでした。
出口のない悩み。
もうこの頃には、自分が何をしたいのか全く分からなくなっていました。
3 少しずつ自分の気持ちに気付き始める
答えは見つからず、仕事のモチベーションも上がらず、ただ時間だけが過ぎていく、宙ぶらりんの日々が続いていました。
しかし、悩み続ける中で少しずつ分かってきたことがありました。
それは、何か絶対的にやりたいことがあって転職をしたくなったわけではない、ということ。
そもそもは、このようなことに至ったのは、勤務年数を重ねる中で、漠然とした不安を抱え始めたことにあります。
そして、そのことに苦しんでいたら、ちょうど手が届きそうなところに、手を差し伸べてくれた民間会社があっただけなのです。
実は、最終面接まで進んだ会社も、別にその仕事がしたくて探し始めたわけではありませんでした。
転職エージェントから紹介された求人のうちのひとつでした。
その会社のことや業界のことを調べるうちに、「このような業界で活躍してみたい」と思うようになった、という順番でした。
要するに、
勤務年数を重ねるなかで、仕事に飽きてしまった。
環境を変えれば上手くいく、と幻想を抱いてしまった。
ということだったのです。
自分は、今の土俵で戦うための努力をせずに逃げ出したかったのかもしれません。
環境だけ変えればなんとかなる、という発想で転職活動に没頭していたのです。
恥ずかしいくらいに、いつの間にか手段が目的化していた、ということです・・・
4 キャリアカウンセラーに相談
それでも、自信はありませんでした。
もしかしたら、自分は人生で最後のチャンスを棒に振ってしまうことになるのではないか。
年齢的にも、景気動向からしても、これより先延ばししたら転職活動の難易度は遥かに高くなります。
そのような中で、転職を諦めてしまっていいのか。
公務員は、やはり沈みゆく泥船なのではないか。
今一つ、公務員を続けていくことを、すっきり決断できませんでした。
そこで、キャリアのことを考えるプロに相談しました。
転職エージェントでもキャリアの相談は受けることができます。しかも無料で。
しかし、エージェントの仕事は、登録者をクライアント企業に採用してもらってナンボです。転職活動を否定するわけがありません。
もっとフラットな立場で話を聞いてもらえそうな相談先を探しました。
そこでたどり着いたのが、キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)。有料です。
結果、どうだったか。
行ってよかった。
このように私が体験を綴ることができているのも、キャリアカウンセラーの方との相談を経て、はっきりと自分の甘さを指摘してもらい、自分の考えを整理することができたからです。
そして、以下のことを再確認することができました。
- やりたいことが特段ない状態で転職するのはNG。失敗したときのことを考えると、精神的にも経済的にもリスクが高すぎる。
- 他人(エージェント)が見つけてきた求人に、流されるがままに応募し選考まで進んだこと。→自分の人生、他人に預けすぎ。
- 「その組織の中で働くことだけが上手くなっていく不安」←これは民間だって一緒。公務員だから、とか、民間だから、とかの線引きで考える話ではない。結局、自分のやりたいことや考えが明確にある人だけが、組織の外でも生き残っていくことができる。
- 自分は結局、やりたいことが見つかっていない。
- 公務員という安定したベースを持ちながら、リスクを抑えながら自分のやりたいことを見つけていけばいい。
- その中で、本当にやりたいことが見つかって、それが転職しないと実現しないようであれば、また転職活動をすればよい。
このように、自分の頭の中でモヤモヤしていたことを言語化できたことは、キャリアカウンセラーの方のお陰です。
そして私は決心するのです。
働きながらやりたいことを見つけ、公務員の枠を飛び越え活動しよう。
そして、そのような輝く姿を妻や子どもに見せ、人生の楽しさを教えてあげたい。
公務員を続けながら自分の可能性を広げることはできる
先述したとおり、人口減少、少子高齢化、先行き不透明な景気、IT技術の進歩といった社会情勢を踏まえると、社会の様々な仕組みが制度疲労を起こします。
そうなると、遠くない将来、終身雇用や年功序列的な給与体系は間違いなく崩壊するでしょう。
そのような中で近年、公務員の副業について、少しずつ解禁の流れが出ています。
これは、今のうちに自分で生きていける術を磨いておいてね、というメッセージだと輪たちは考えています。
神戸市や奈良県生駒市では、基準を設けた上で職員の副業をOKとしています。このような流れは他の自治体でも広がってくると思います。
本当の安定とは、組織に頼らず自分の能力で生き残っていくこと。
これは変わらないと思います。
であるならば、私は、安定した公務員という仕事をベースにしながら、自分の能力を活かして組織以外でも必要とされる人間になる。そう決めました。
では実際にどうするか。
- 地域の活動に積極的に参加する。
- これまでの私の体験をブログで発信する。
この2つを軸に活動し、自分のやりたいことを見つけていくことにしました。
さいごに
自信のキャリアについて悩むことは、誰でも大なり小なりあると思います。
それは、いわば思春期のようなものかもしれません。
その時期には、このままでいいのだろうか・・・といった、不安や焦りに襲われます。
悩んでも簡単には答えにたどり着きません。
けれど、思春期に終わりはあります。
だから大丈夫です。
そこで大切なことは、
- 自分の気持ちと向き合うこと。なぜこのような気持ちになっているのか、立ち止まって考えることが、人生の棚卸に繋がる。
- 悩むだけでなく、行動すること。現状に対して愚痴ばかり言っていても何も変わらない。
- 環境を変えても人は変わらない。まずはそこで戦う努力を。少しだけ我慢して、楽な方向に安易に手を出さないこと。
そして最後に、公務員も悪くないです。
この街をもっとよくしたい、と純粋な気持ちで考えてもいい仕事って、なかなかないと思います。
もっとたくさんの人が「この街に住んでよかった」と思えるように、頑張るだけです。
「この街に住んでよかった」と思えることは、その人にとってとても幸福なことです。
人をそんな気持ちにさせることができる仕事はないです。
ただ、日本は高度成長経済が終わり、人口減少も進み、成熟国家になっています。そうなると、人々の考え方やニーズは多様化してきます。
限られた予算の中で、そのニーズに対してどう納得感のある解を導き出すか。時には、事業廃止などの厳しい選択を住民に迫ることがあるかもしれません。
納得解を導き出しアウトプットする論理力。意見を聞き寄り添うことができる共感力。そして、この人の話なら聞こうと思ってもらえる人間力。
公務員に求められる能力は、はっきり言って一朝一夕で培えるものではありません。私は、そこにやりがいを見出すことができました。
このように公務員という仕事や今の自分を見ることができるのは、行動を起こしたからです。
転職活動をすることで、公務員という仕事を見つめ直すことができました。
そして、誰しも現状に何かしらの不安・不満を抱えており、「何かしないと」という風に思っていることも、肌感覚として分かりました。そこに公務員と民間という違いはありません。
だから、とりあえず行動してみる。
愚痴を言って過ごすより、行動してから後悔してみる。
そうしないと、目の前の現実は何一つ変わりません。
いつか何者になる。私のブログのテーマです。
「何者」といっても、バリバリに起業するとか、SNSやネット上で人気を博すとか、“普通”ではない優秀な人間になろう!と言うわけではありません。
ただ自分のやりたいことを見つけ、まだ何者でもない今を味わいながら、地道に歩んでいく。そんな何者への成り方でいいと思っています。
だから、公務員を辞めたいと思っている方へ。
焦らなくていいです。
私たち公務員の仕事は、他の仕事では味わうことができないダイナミックさと尊さを含んでいるはずです。
そして、収入が安定して入ってくるという環境は何にも代えがたい安心です。
そのベースを活かして、リスクを抑え、何者になってみる。
そんな方法もあるのだよということを、私自身のこれからの経験から証明できるように私も頑張ります。