30代公務員が転職活動をして分かった 公務員を辞めなくていい5つの理由
今回の記事はこんな方におすすめです。
- 30代半ば。中堅として脂がのってきたけど、「このままでいいのだろうか・・・」と不安を覚える方
- 公務員のキャリアに不安があるけど、なんとか希望を見出したい方
- 公務員を辞めたい・・・とモヤモヤしている方
はじめまして。
民間企業を経験し、地方公務員に転職。
30代半ば、配偶者と子どもがおります。
何者になる公務員と申します。
私は、転職し公務員になりましたが、勤続7年目あたりで公務員のキャリアに絶望し、一度公務員を辞めようと思いました。
そして、転職活動をし、再び民間企業の世界に戻る寸前までいきました。
しかし、転職活動を経て、公務員の仕事を見つめ直すことで、公務員として再び生きていく腹をくくることができました。
そんな私が、実際に転職活動をした経験、転職を本気で考え葛藤した経験をもとに、公務員を辞めなくていい理由を紹介します。
30代の公務員と言えば、いわゆる中堅として、プロジェクトの中心を担い仕事も脂がのる頃。
勤務して10年目前後。
複数部署の異動を経験し、組織に慣れてきたことと、組織の中での自分の将来がなんとなく見え始めることによって、仕事へのモチベーションが下がりやすい時期です。
「このままでいいのだろうか・・・」という漠然とした不安を抱えます。
その不安から、公務員から民間への転職を考える方もいると思います。
そして、公務員のキャリアに絶望する方もいると思います。
でも、ちょっと待って。
公務員を辞める必要はありません。辞めるのはもったいない。
その理由を一緒に見ていきましょう。
目次
- 理由1 転職エージェントから紹介してもらえる案件が少ない
- 理由2 それ本当にやりたいことですか 転職することが目的になってない?
- 理由3 「民間に行けばうまくいく」は幻想
- 理由4 公務員のメリットをもう一度見るべき
- 理由5 公務員を辞めなくても自分の可能性は広げられる
- さいごに
理由1 転職エージェントから紹介してもらえる案件が少ない
まずは、そもそものお話です。
公務員が転職できる求人は少ないです。
私が転職活動したのは、コロナウイルス感染症が流行する前の2019年11月。
景気動向としては、オリンピックが終わるまでは保たれるという見方が強く、転職市場もオリンピックが終わるまでは動きが活発と言われていました。
もしかしたら、普通に公務員をやっていただけの自分でも、華麗に転職できてしまうかも!?
そんな期待を、転職活動当初の私は抱いていました。
しかし、現実は甘くない。
転職エージェントから紹介してもらえる案件はほとんどありませんでした。
理由は次の通り。
- 転職活動において、公務員は未経験扱い
- 30歳代での転職活動は、これまでの専門性が求められる(営業職やマーケティング職などの領域における即戦力が求めらえる)
- 公務員はコスト感覚・スピード感覚が鈍いという印象が強いから、民間からは嫌煙されがち
誤解を恐れずに言うなら、営業やマーケティングなどの実務における経験という意味では「新卒社員と変わらない」ということなのです。
我々公務員の“事務職“としての経験は、ほとんどの会社の中で、即戦力になることはできません。
そのような人材を採用して、営業やマーケティングなどを一から教えて育てようなんて、あなたが企業の経営者だったら思いますか?
そういった理由で、転職できる求人が少ないため、公務員の転職の難易度は高めです。
理由2 それ本当にやりたいことですか 転職することが目的になってない?
さて、次は、転職活動をする中で陥りがちなワナについてです。
普通の公務員を、書類審査を通過して面接まで通す企業は、次のようなパターンが考えられます。
- 官公庁相手に商売をしている(コネを期待)
- 人材の入れ替わりが早い(ブラックな意味で)
- よほど求人が集まらない(人気がない)
だいたいこんなところでしょうか。
求人案件数が少ない中、初めは条件の良さそうなところに絞ってエントリーします。
ほとんどの場合、光の速さで「ご希望に沿えず申し訳ありません」といった趣旨の不合格の連絡が来ます。
するとどうなるか。
不安になります。
何か自分を否定された気持ちになり、不安になるから、手あたり次第エントリーします。
なんとなく、気になるキーワードがある企業があれば、ポチっとエントリー。
それでも不合格の連絡は止まりません。
そして、危険なのがこのタイミング。
そんな中、「面接日の調整 書類審査合格です!」といった連絡が入ります。
これ、めちゃめちゃ嬉しいです。
そこで書類審査でOKを出してくれた企業の情報を見ます。
「あれ、こんな企業、エントリーしたっけ?」正直そう思います。
それでも、「書類審査でOKを出してくれたということは、自分の活躍のチャンスがあるのでは?!」と、前のめりにその企業の情報を調べ始めます。
するとどうなるか。
その会社が良い会社に思えてきます。
そして、面接のために準備を始めるわけですが、
当然、その業界だったり会社自体の志望動機を考えるわけです。
すると、自己催眠にかかったかのように、
いつの間にかその業界や会社が、自分に向いているのでは?と思えてきます。
なんなら、初めからその業界を目指していた気になります。
ここで質問です。
あなたは絶対的にやりたいことがあって転職をしていますか?
あなたが本当にやりたいことがあって、その業界・会社を目指すのであれば、全く問題がありません。
ですが、なんとなく転職を考える中で、なんとなく出会った会社に自分の運命を預けてしまうのはリスクが高すぎないでしょうか。
こういったことは公務員に限ったことではないかもしれませんが、私は公務員こそ、この点に注意が必要だと考えています。
それは、公務員は、社会の動きに対して初心だからです。
公務員が実際に仕事で相手にするのは、住民か組織内が圧倒的に多いです。
一部、民間企業とのやりとりは当然ありますが、ほとんどの場合が委託事業者が多いです。
それはつまり、あくまで公務員は“お客様”として扱われているだけです。
公務員は、ビジネスという、ある種の腹黒さをもって渡り歩く必要がある世界を知りません。
だから、役所とのコネを作りたいとしか考えていない企業や、人材を使い捨てる傾向のあるブラック企業などからのオファーに、安直に乗せれられて人生を台無しにしないよう、注意してほしいのです。
理由3 「民間に行けばうまくいく」は幻想
公務員が転職活動をすると、公務員のキャリアに絶望を感じます。
公務員が転職活動で評価されることは少ないです。どこへ行っても未経験扱い。
すると、こういった気持ちが芽生えます。
「私の10年近くの仕事って何だったんだろう・・・」
「役所で働くことだけが上手になっただけだったのかも・・・」
そして、次にこう考えます。
「このまま公務員を続けたら、万が一何かあったときに、組織の外で生き抜いていくことができなくなる」
「民間に行けば専門的スキルを身に付いて、そのスキルを武器に市場価値を上げられる」
一時の私もこのように本気で思っていました。
ざっくり言うと「民間に行けばうまくいく」と思っていたんですね。
でも、よく考えてください。
民間で働く人たちが皆、自分のスキルを武器に、順風満帆に自分のキャリアを邁進しているのでしょうか。
そうであるならば、転職市場はもっと活発になり、転職が文化としてもっと根付いているはずです。
でも、現実はそうではない。
私は実際に転職活動をし、エージェントやキャリアカウンセラーと話したり、キャリア形成に関わる本を読む中で、それが分かりました。
民間で働く人だって、「このままでいいのだろうか・・・」「この組織のなかだけで働くことが上手くなったのでは・・・」という漠然とした不安から転職活動をしていることが多いです。
自分のスキルを武器に転職市場を渡り歩いている人は、ほんの一握りです。
キャリアに悩むのは、民間も公務員も一緒。ということです。
民間に行けばうまくいく、という理由で公務員から民間へ転職した人は、次は、「あの会社に行けばうまくいく」といった具合に次の環境を求めて点々としてくだけでしょう。
理由4 公務員のメリットをもう一度見るべき
転職について、家族にも納得してもらうこと。
家族を養う方にとっては、転職活動にとって最大のポイントでないでしょうか。
公務員というブランドは、家族にとって絶大な安心感があります。
転職するということは、それをあえて捨てるということです。
余程の熱意があるor収入アップに繋がる、といった事情がない限りは、家族からは受け入れられないことです。
ずっと公務員として働いていると、公務員のメリットの有難みが薄れてきます。
- 毎月給与が入り、決まった時期にボーナスが入る。
- 余程のことがない限り少しずつ昇給していく。
- 余程のことがない限り失業しない。
- 残業も月20~30時間程度(部署による)
- 休暇を取得しやすい
これらの安定は他の仕事ではあり得ないことです。
会社の収益が悪かった場合、ボーナスが出なかったり、急にリストラされる会社なんてザラにあります。
そのように考えると公務員のメリットは、家族にとって、そして自身にとっても貴重なものです。
しかし一方で、この公務員のメリットはどんどんなくなっていくだろう、という話もあります。
この辺りで公務員との決別を迷っている方もいるのではないでしょうか。
それは、公務員のリストラと給与水準の減です。
人口減少、少子高齢化、先行き不透明な景気、IT技術の進歩といった社会情勢を踏まえると、戦後の日本を支えてきた様々な仕組みが疲労して機能しなくなってきます。
終身雇用もそのひとつです。
公務員だって、リストラされる可能性が高くなってきます。
そして確実に給与の水準も下がっていくでしょう。
しかし、私は、このリスクについては、直撃は避けられると考えています。
まず、公務員のリストラについて。
「公共サービスの安定性」「失業者の大量発生」という観点から考えると、一気にリストラという可能性は低いと思うからです。
公務員を一気に減らしてしまうと、公共サービスの質を維持することができなくなります。また、全国にいる約274万人(地方公務員の職員数。平成31年4月1日現在。総務省HPより)のうち数万人が路頭に迷うことになります。
これだけの失業者を出すような政策がとられることは、日本全体としてリスクが大きすぎます。
よって、減らし方としては、採用を絞りながら徐々に減らしていく方法をとるはずです。
以上の理由から、「余程のことがない限り失業しない」という公務員のメリットは、将来も揺らぎずらいと考えます。
では、給与水準の減についてはどうでしょう。
私は、このリスクについても、直撃は避けられると考えています。
その理由は次章に譲ります。
理由5 公務員を辞めなくても自分の可能性は広げられる
ここでは、公務員の給与水準減リスクは避けられる、というお話です。
先述した通り、社会の様々な仕組みが制度疲労を起こしています。
遠くない将来、終身雇用や年功序列的な給与体系は間違いなく崩壊するでしょう。
そのような中で近年、公務員の副業について、少しずつ解禁の流れが出ています。
これは、今のうちに自分で生きていける術を磨いておいてね、というメッセージだと私は考えています。
神戸市や奈良県生駒市では、基準を設けた上で職員の副業をOKとしています。
このような流れは他の自治体でも広がってくると思います。
私が考える給与減リスク対策は、
安定した公務員という仕事をベースにしながら、自分の能力を活かし活動し、組織以外でも必要とされる人間になること。
では実際にどうするか。
- 地域の活動に積極的に参加する。
- これまでの私の体験をブログで発信する。
この2つを軸に活動し、自分の可能性・やりたいことを見つけながら、公務員以外の収入確保に繋げていこうと思います。
さいごに
何がなんでも公務員にしがみつけ、と言っているのではありません。
本当にやりたいことがあって、それが公務員として勤めながら実現することが難しいのであれば転職すべきです。
しかし、
公務員としてのキャリアに疑問や不安を持ち、なんとなく辞めたい、と考えているのであれば、まずは辞めないことをおすすめします。
まだまだ、給与面、福利厚生面での公務員のメリットは残っています。
そして当面はそのメリットを享受できると思います。
メリットを享受できる間に、そのメリットを享受できなくなる時のために備えておく。
それが現実的な戦い方だと思います。
私たち公務員の仕事は、他の仕事では味わうことができないダイナミックさと尊さを含んでいるはずです。
そして、収入が安定して入ってくるという環境は何にも代えがたい安心です。
そのベースを活かして、リスクを抑え、何者になってみる。
そんな方法もあるのだよということを、私自身のこれからの経験から証明できるように私も頑張ります。
それでは、また。